屋久島旅2日目。
1日目の島内一周はこちらから。
朝早起きをして、屋久島のガイドの評判の良い店「山岳太郎」さんのガイドさんが車で迎えに来てくださり、
憧れの白谷雲水峡へ出発。
雨が強いのでレインウエアを着こみ、いざもののけの森へ!!
苔が水を含んでしっとり。ふかふか。
まるで天鵞絨の絨毯のようです。
辺り一面緑の空気に浸されています。
巨大な手の形をしたヒメシャラの樹もあって、楽しい!!
さあ、奥に進んでいよいよ苔むしたもののけの森へ!!!
というところで、目の前に広がる、激流。
あれ、白谷雲水峡って、もっとこう、しっとりさやさやとした水の流れでは…
そうそう、こんなイメージで↓
しかし、現実はこれ。
激しすぎる水の流れに、ここから先に進むのは困難との判断で、あえなくわたしの初白谷雲水峡はここまで。
当初の予定では白谷雲水峡から山に入ってテントで一泊し、翌日は縄文杉を見に行くという予定でしたが、それも危ないということになりました。
この雨ではテントで泊まっても苦行ばかりで楽しくなかっただろうから仕方ない。
一番有名な苔の森エリアは見られませんでしたが、そこまで行けなくても充分辺り一面苔があったので、良しとしましょう!
さて、一旦車まで引き返し、本来なら森の中で食べるはずだった早めの昼食をもらって、ここからどうするのか。
悪天候のための予定外のコース変更、コースというか予定そのもの変更があって、ちょっぴりしょんぼりしてるわたしたち。
そんなわたしたちを、ガイドさんはまずは海に連れてきてくれました。
荒れてるんだけど、日本海の海のような冷たく怖い感じはなく、南国の暖かい海の色をしているのが印象的でした。
南の海ってやっぱり好きだな。
それから、昨日来た恐怖の西部林道へ。
雨を避けてお猿たちも雨宿りしていました。
わたしたちには、どこから道なのか、コースなのかも判別しない、道なき道をとおって
ガイドさんが、普段人をあまり連れてこない、秘密のガジュマルスポットへ連れてきてくれました。
ここはホントに知らなければ辿りつけない場所だとおもいます。
さすが、屋久島のガイドさん!嵐のときでも、安全に楽しめる場所を知っているんですね。
ガジュマルという植物のことは知っていましたが、この巨大なガジュマルの要塞をみて、自分が知っていたつもりになっていたのはただの知識で、ほんとのガジュマルのパワーは実際に見ないとわからないなと思い知らされました。ガジュマルの命の凄まじさみたいなものに圧倒されました。
「植物は動けない」という表現で、自分が根付いた環境がどんなところでもそこで根を張り懸命に生きる植物の強さを称えることがあります。
でも、この巨大なガジュマルはそういう植物への固定観念を打ち砕いてきます。
ガジュマルは“歩ける”植物です。
この場合“歩ける”というのは、実際に足で移動するのではなく、幹が分岐して枝を伸ばし、そこから気根という根を上から地面に向けて垂らして、自分が生きやすい場所にどんどん浸食していくのです。
もっと日の当たるほうへ、もっと栄養のあるほうへ、もっともっと。
可能性にかけて、今いるところよりも、もう少し遠くへ。
「日の当たらないところでも健気に頑張る」のではなく、「日が当たらないなら、当たるところまで行ってやる!」という強さ。
好きだ!!かっこいい!!!!
熱帯雨林の気候によって進化した、森の中での太陽光を巡る競争によって進化した植物です。
気根は最初はごく細いものですが、土台や自分の幹と絡みつき、太くなっていくと樹皮も発達して、地面に達すれば幹と同じになります。
土台にしている石や岩を覆い、他の木を枯らすこともあります。ガジュマルは「絞め殺しの木」の一種です。
そういうと、物騒な、怖い植物のようにも思えますが、わたしはこの巨大ガジュマルを見て、その生命力の強さにあっぱれ、感服しました。ほんとかっこいい!!すてきだ!!!!と興奮しました。
生きよう、生きてやる!という強い意志が、時には結果として他のものを殺すことになったとしても、生への貪欲な一生懸命さは清々しいです。
正直でいい!!とおもいます。だって、わたしたちだって、生きている以上は絶対他の生き物の命を犠牲にしなきゃならない。肉食をやめたところで、菜食主義者になっても、植物だって生きてるから他の命をもらっていることにはかわらない。(わたしの個人的な考えです)
生きるということは他の命をもらって、(もっと能動的に言うなら)奪って、自分の命を繋ぐってこと。
直接手を下さなくて良くなった現代では希薄になってしまった感覚だけど、でもわたしたちが日々の生活の中で、毎日の食事で、やっていることの本当の意味はそういうことだとおもいます。
それを、曖昧にしたくない。ちゃんと覚悟してやっていたい。
己が何をしているのかわからないままやっているのが一番失礼だとおもう。
ガジュマルをみて、その生への意思の強さ、誠実さ、必死さや懸命さに胸が打たれました。
いのちって、こうだよな、こうありたいよなっておもいました。わたしもこういう風に生きたい!!
それくらい凄い感動をこのガジュマルはわたしに与えてくれました。
もしかしたら、嵐が来ずに順調に白谷雲水峡に行っていたら、わたしはここまでの強いインパクトをこの旅の中で得られなかったかもしれません。
ガイドさんがここに連れてきてくれなかったら、わたしの屋久島の印象はもっと違ったものになっていたとおもいます。
そう考えると、嵐が来て予定が変わったのも、屋久島にほんとに詳しいガイドさんに頼んだのも、すべて良かったなあとおもいました。
ガジュマルの森の近くで、ヤクシカに出会いました。
角の産毛が水をはじいて、白く光ってみえました。
神々しい。まるでもののけ姫のシシ神様です。
ヤクシカは屋久島と口永良部島にしか生息していない、二ホンシカの亜種です。普通の二ホンシカより小型です。
これは小型に進化した結果だそうで、動物が小型に進化するのは他に捕食者がいない場合や、種内での食料競争が厳しい場合で、ヤクシカの場合そのどちらもが当てはまります。
南国の植生が見れて楽しいです。いつもわたしが登っていた関東の山では見ない植物たち。
この森を抜けて、見晴らしの良い岩の上から海を眺めました。
風は強かったですが、この時にはもう雨は止んでいました。
森の方を眺めると、太古の自然がそのままに残っているようにかんじます。
人の手が入っていない森、太古の森、それは宮崎駿監督がもののけ姫で描いた森です。
森を守るために、人間の手を入れて管理をしている森もあります。その大切さ、重要さもわかります。
ただ、そうした人間の手が入った森と、そうではない手つかずの自然の森は、密度が違うなとおもいます。
良い悪いではなく、違う。その違いは絶対にある。だから、そのどちらもがある方が良い。
一日が終わってみると、朝感じていた「白谷雲水峡の奥まで行けなかった、山の中で一夜を過ごせなかった」
というがっかりした気持ちが吹き飛ぶくらい、屋久島の色んな自然、色んな面に触れられた日なりました。
自分たちだけで計画をしていたのでは、こんな大胆な方向転換はできなかったと思うので、ガイドさんの機転と豊富な屋久島情報のおかげです。
なので、屋久島を訪れる方はぜひ良いガイドさんをつけること、縄文杉だけではなくガジュマルに注目することをおススメします!!
さて、こんな嵐の一日が嘘のように、翌日は晴天になりました。
いよいよ縄文杉と会えるのか!!!
まだまだ屋久島の旅の記事は続きますので、お付き合いください。
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