季節はずれの投稿ですみません笑
山小屋で働いている間は、天気の良い日は毎日外に散歩をしにいって、日に日に移ろっていく木々の様子を眺めるのがとても楽しかったです。
早寝早起きの健康的すぎる生活も、インターネットやメールなどから切り離された贅沢な不自由さも山小屋の魅力ですが、山小屋で働く楽しみは色々面白い経歴を経て山で働いている人たちとのおしゃべりと、大自然の中を毎日歩けることだとおもいます。
重いザックを背負わずに軽快に山道を歩いていると、よく登山客の方から“この子はこんな軽装でどうしてここにいるんだろう”と不思議そうな目でみられました笑
尋ねられて、「近くの山小屋の者です」と答えると「いいわねえ、こんな素晴らしい場所で働けて」と言われると、ええそうなんです、みなさんが遠方から歩きに来る北アルプスの山の中が今わたしの職場なんです、毎日歩けるんです!!と誇らしいような自慢したい気持ちになりました。
休暇をもらって、近くの山に登りにいくこともできます。今回は北アルプスの縦走路の表銀座、
尾根を歩いていく縦走コースでしか通らない大天井岳をレポします!
槍ヶ岳と西岳を結ぶ水俣乗越からは、槍沢がよく見えます。
この日は晴天で、たくさんの尾根を集めてよくもまあこんなに格好良い形になったなあとほれぼれする槍ヶ岳の姿もよく見えました。
何度みても素晴らしいので、進行方向とは逆なのに何度も振り返ってしまいます。
西岳に向かう途中には、険しい場所が一か所あり、鉄梯子がかかっています。
ちょこちょこと高低差があるので息は切れますが、注意していけばそんなに難しいところはないです。
ヒュッテ西岳に到着。
小屋のご主人に、この日(9/23)が紅葉の見ごろベストだとおしえてもらいました。
ここから大天井ヒュッテまでは尾根を歩いていくので、両側とも見晴らしは良いし道も歩きやすいしで最高でした。
大天井ヒュッテに到着。
今晩はこちらでお世話になります。荷物を置いてから、大天井岳(標高2922m)を登りに行きました。
ヒュッテから一時間半くらいかかりました。
ここにも小さな祠があります。とても気持ちがよい場所です。
ここから道が分かれて、進行方向このまま北に進むと燕岳へ。
見るからに気持ちよさそうな尾根道で、そっちに行きたくてウズウズしました。
しかし今回は行けないので、いつか必ず歩いて噂に名高い燕山荘のケーキバイキングに参加したいと心に決めました。
東の方に行くと常念岳、蝶ヶ岳方面へ。こちらは後に逆方向から歩きましたので、またレポします。
後ろには今まで歩いてきた道と槍ヶ岳が遠くに見えます。どこからみてもわかる槍の姿。
頂上に近い大天荘では山ガール向けのグッズがあります。
頂上から大天井ヒュッテまで下りははやくて30分くらい。その後休憩して、夕方から夕陽を見に牛首展望台へいきました。
展望台というか、小山のようになっています。日が落ちると夏でも肌寒く、また霧がでてきてしまったので、夕陽どころか5m先も見えないようなありさまです。
しかし、逆にこれはチャンスと、天候が悪いときにしか姿を現さないという雷鳥がみれるのではと周囲を静かに探し回った結果、小さい鳴き声とガサガサという物音をたよりに、
なんと牛首展望台に住んでいるという雷鳥をみることができました!!
距離がすっごく遠かったので、写真には綺麗に映っていませんが、歩いて動いている姿がみれて感激しました。
高山にしか生息していない日本雷鳥は絶滅危惧種にも指定されていて、近年その保護の重要性が指摘されています。
飛べない鳥である雷鳥は、その外敵である猛禽類が飛ばない天気の悪い時にしか姿をみせないので、まさに嵐とともにいる鳥“雷鳥”と呼ばれていますが、その姿はとても可愛らしいです。
特に冬は真っ白の冬毛がモフモフで可愛すぎるので、ぜひいつか見てみたいとおもいます。
日本では古くから山岳信仰のあるような高い山にしかいないことから神の使いとも考えられていて、人間が捕獲など危害を加えなかったため、世界中でも珍しい人間に警戒しない野生動物となっています。
これは日本人と日本雷鳥が長年信頼関係をつくってきたからで、雷鳥側でそれがどうやって伝わっているのかわかりませんが、人間が自分たちに危害を加えないことを知っているからできる関係性のようです。
世界にはほかにも雷鳥がいますが、この特性は日本雷鳥だけだそうです。
もちろん、野生動物ですから物音には警戒するしむやみに近づくのはダメですが、この素晴らしい鳥と人との関係をずっと続けていけるように、どんどん狭まっている彼らの生息地と今いる個体を守っていかないといけないなとおもいました。
天気が良ければ山脈の中なので満点の星空が見れますが、この日は残念でした。
でも、大天井ヒュッテはアットホームでとても面白い主がいる素敵な小屋なので、すごく楽しい夜を過ごせました。
ただ、この日も日が落ちてから小屋に到着する人がいて、15時を過ぎると山の天候は崩れやすく、遮るものも逃げ場所もない尾根道で落雷にあうと命の危険があるし、日が陰ってくると夏でも高山では低体温症になります。山のルールとして最低16時には山小屋に到着するスケジュールを守ってほしいなとおもいました。
山小屋で注意されて、疲れているのにとムッとすることもあるかもしれませんが、それはみんなあなたの命を心配している言葉だということをわかってほしいとおもいます。
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